「月刊J-LIS」は地方公共団体情報システム機構が企画編集し、毎月発行している自治体ICT専門誌です。
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インタビュー内容の要約
土谷氏は富士電機でシステムエンジニアとしてキャリアを開始し、外資系企業や調査会社、HOYAで情報システム事業部長を経て独立。現在は民間企業と自治体の双方にDX推進・人材育成を支援している。特にITに不慣れな職員のマインド変革を重視し、「ITが苦手でも業務知識を活かせばDXの中心になれる」と強調する。
自治体支援事例として、佐賀県唐津市では水のブランド化によるまちおこし、静岡県磐田市ではChatGPT研修や生成AI利用ガイドライン策定、佐賀県小城市ではDX優先順位づけ、神奈川県愛川町ではITリテラシー研修を実施。いずれも職員の意識向上を目的とし、終了後も相談対応を継続している。
DX推進の課題は、自治体に根強い「ITに弱い」「他自治体を見てから動く」といった意識や、ベンダ任せ体質。大手ベンダでも全対応は難しく、安価なWebサービスも増えているため、職員自身が目的や要件を明確にし、最適な事業者を探す姿勢が不可欠。また、アプリ導入時はシェアや運用継続性にも注意が必要。
フロントヤード改革では、紙手続きなど旧来慣習が残りがちで、トップの意識改革と住民目線の改善が必要。住民の声を拾い、具体的なペルソナ設定でサービス改善を図ることが有効。例として雑誌「ハルメク」の成功事例を紹介。窓口サービスも「30代共働き女性」など具体的な利用者像を想定し、利便性向上を考えるべきとする。
改革推進の鍵は、現場職員の声を拾い、自分たちで決めて取り組むこと。抵抗勢力になりがちなベテラン職員も巻き込み、小規模でも短期間で成果を出すQuick Winを積み重ねる。小さな成功は庁内で共有し、改善の機運を広げることが重要。
職員に求められる能力は、ITスキル以上に要件整理・論理的思考・コミュニケーションといったコンセプチュアルスキル。これらは経験で磨かれるもので、デジタルを苦手とする自己制限を外すことが肝心。心理実験や「ノミの天井」の例えを用い、思い込みが能力を制限することを指摘する。
最後に土谷氏は、「できる」という気持ちで臨むことがDX成功の原動力であり、職員一人ひとりが自信を持ち、小さな成功から大きな変革につなげてほしいと呼びかけている。

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