東京都の残念なDX

今回は「東京都の残念なDX」という話題を取り上げます。地方自治体にDXやマーケティングなどの支援をした経験があり、関わってきた自治体ではこんなことはないと信じているのですが、DXに懸命に取り組むと、結果としてこういった事態に陥ることは確かにありそうだと感じました。

最近、久しぶりに東京都立のドッグランが併設された公園を訪れました。以前は、管理事務所で犬の鑑札を提示し、少し待つことでその日のうちにドッグランを利用できるプラスティック製のIDカードが発行されました。しかし、東京都はDX施策として、都内の公園12か所で共通に使えるデジタルIDカードを導入しました。このカードはスマートフォンで申請可能ですが、利用開始までには約5日を要します。

この新制度の導入は、理論上はユーザーの利便性を向上させるものです。しかし、実際には多くの市民が新制度の存在を知らず、公園に到着してからドッグランを利用できないという事態に直面しています。公式の案内ではサービスが向上したとされていますが、現実は利用者の混乱とフラストレーションを生んでいます。

東京都でDXを推進する部門では、手作業をIT化するようプレッシャーをかけられ、とにかく結果を出さないといけない、ということで進めてきたのだと思います。ところが、電子化することが目的化してしまい、本来あるべき住民の利便性向上が視野から抜け落ちてしまったのだと思います。

ドッグランのような公共の施設利用においては、利用者が計画的に事前申請を行うとは限りません。今日は天気がいいので、ドッグランを設置した東京都の公園に行ってみるというのは、よくある話だと思うのです。ところが、行ってみたら、今日はドッグラン使えません、と言われたらガッカリ😞ですよね。

東京都の事例は他の自治体にとっても重要な教訓で、他山の石にしたいところです。DXを進める際には、このような「残念なDX」を繰り返さないよう、つまり顧客の視点で考えることを忘れないようにしたいものですね。

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