小城市DXセミナ~”みんなで進めるDX”

昨年からDX推進についてお手伝いしている佐賀県小城市職員の皆さん向けに、「DXセミナ~みんなで進めるDX」を本年(2024年)1月26日に約1時間の枠でオンライン開催しました。対象は、一般職員の皆さんです。

セミナの背景

DXとは、単に最新のテクノロジーを取り入れることだけではなく、そのテクノロジーを活用して社会や組織の根本的な変革を促すことを意味します。

つまり、DXについて大切なのはD(Digital)ではなくX(Transformation)ですね。この認識は、セミナを企画してくださったDX推進部門の方々の努力でほぼ浸透しています。

しかし、「X、つまり変革が大事だといわれても、何をどうしたいいのかわからないし、IT苦手なんですよねぇ」という声は少なくありません。セミナでは、そうした疑問や不安を解消し、DXに対して前向きに取り組んでもらえるようマインドセットを変えることを目指しました。

セミナに関係ないのですが、小城市から贈られた一口羊羹オギキューブです。

https://www.ogi-kankou.com/netshop/15_377.html?view=SmartPhone

地域人材の育成のため、市民と地元企業が”共創”し、市の新しいお土産を開発するリビングラボプロジェクトを実施し、 第一弾として出来上がったのが「ogi cube」羊羹です!

セミナの要旨

DXといっても、一般職員はDX推進部門や外部のベンダとは立ち位置が違います。多くの一般職員は、ITに詳しくなる必要はなく、何をやればいいか明らかにすることが主な役割です。

窓口を訪れる住民の方がどういったことで困っていて、どんなサービスがあれば行政に対する満足度が上がるのか?それがわかれば、後はDX推進部門がベンダと協力してITを駆使した解決策を生み出すことができます。

住民のニーズを洞察するには、一般的なサービスへの期待を超え、具体的な職業、年齢、ライフスタイルを持つ人々が直面する具体的な課題に焦点を当てることが必要です。このアプローチは「ペルソナ」として知られ、マーケティングで広く採用されており、総務省も地方自治体での採用を促しています。

課題解決には、新しい技術の導入が、従来の方法よりもはるかに簡単であることについて話しました。例えば、砲丸投げの世界記録は、150年間で2倍に伸びました。砲丸投げは技術革新による影響を受けにくいので、本当に凄いことで、大変な創意工夫と試行錯誤があったことは想像に難くありません。しかし、ITの分野では、たった50年ほどでCPUの性能が1万倍に向上し、これまで不可能だったサービスを実現可能にしています。砲丸投げの記録を伸ばすより、新しい技術を使うほうが、はるかに簡単なわけです。

IT技術を活用して、ビジネスや住民サービスのありようを変えていくためには、顧客、つまり住民の真のニーズを理解し、それに応えることから始まるべきです。セミナでは、Netflixの例を取り上げています。NetflixはDXの成功事例として語られることが多いのですが、その歴史を振り返ると、当時あまりに強すぎる競合、ブロックバスタービデオに対応して生き残るために、顧客のニーズを探りサービス内容を工夫していたことがわかります。最初はITと無関係でしたが、顧客の好みに応えるためにデータ分析を活用することで、DXの成功例として取り上げられるようになります。しかし、その本質は、生き残りをかけた会社のありようの変化、すなわちXであり、デジタル技術が積極的に使われるようになったのは、次の成長ステージに移行してからです。

同様に、自動運転やアプリによる配車で激動の時期を迎えているタクシー業界では、70年ほど前に当時の最新テクノロジーを活用して、最初のXを経験しています。 いずれの場合も、難しいのは顧客ニーズの本質を知ることであり、これはデータサイエンスの専門家であってもできることではありません。これこそが現場で顧客と接し つまり住民と接している職員の方たちが発揮すべき価値だと理解いただくことが、今回のセミナの大きな主眼のひとつです。

受講生の声

DXでどう使ったらいいのかということを考えがちでしたが、セミナを聞いて、DXをどう使うかというよりも、今の課題をしっかり把握しその解決のためには、こうした方がよい、こうなったらいいといったことをイメージをどれだけできるかということで、DXの活用方法も変わってくるということを認識できました。

“DXとはなにかということをわかりやすく説明しいただいた。 働き方改革、業務効率化の観点から積極的に推進したい

DXと聞くと身構えてしまうが、相手の痛みを解消するためと考えると身近なことからはじめることができるような気がしました。視点を変えることも大事だと思いましたので、身近なことにも着眼しながらDXに取り組めればと思います。

DXセミナということで参加しやすかったです。DXというと難しく考えてしまいますが、セミナの助言で考えを改めることができました。まずは楽しく学ぶということが大事だなと思いました。 できるだけまずは操作する。さわってみるということを心がけたいと思います。

ペルソナの事例が参考になりました。 窓口のDXを検討する際に、具体的なペルソナをイメージし、改善を進めていくことも意識していきたい。

「変革」を意識すると、すごく難しいことのように感じられるが、自分たちの日常の生活や業務の中でも「こうあったらいいな」を感じる場面は多々あるので、そういった改善を考えるうえでの一つの手段として「デジタル」を使えるようになっていければと感じました。

ペルソナで利用してもらいたい顧客のターゲット層を絞ることで、行政サービスを提供したい方のイメージが明確にでき、充実したサービスの提供に繋がると感じた。 ・DXとは思っていたより身近で、市民の方が感じている「不便さ」をDXの力で解決できるようになりたいと感じた。

 「まず、やってみること」という言葉が深く印象に残りました。 DX以外の仕事にも、この姿勢は大事だと考えます。”

セミナを含めたDXに関する取り組みについての報告会の様子です。一番左端は、江里口市長です。

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